● 幾何学賞受賞者の業績

受賞者: 小島定吉氏(東京工業大学大学院情報理工学研究科)

受賞業績: 3次元双曲幾何学に関する一連の研究

業績説明

 小島定吉氏は,低次元多様体のトポロジーの研究を20年間あまりの間一貫して続けておられます. とくに最近10年間ほどは,3次元双曲多様体(曲率が負の一定値となるリーマン多様体)の研究を集中的に行われ, この分野の日本での研究の第一人者となっておられます.

 多くの重要な仕事をされましたが, とくに1998年に発表された論文において錐型特異点(錐のように尖った特異点)をもった3次元双曲多様体の変形の大域的振る舞いに関する基本的な結果(大域的剛性定理)を証明されました.

 この結果は,同時期に出版された Hodgson-Kerckhoff の論文で証明された局所剛性定理とともに, 3次元双曲的錘多様体の変形理論の基礎付けを完成した結果といえます.

 3次元双曲多様体の研究は,Thurston による一連の有名な仕事以来,トポロジーの主要な研究テーマの一つとなっています. いわゆる Thurston プログラムの完成に向けての研究が多くの研究者により活発になされている中で, 小島定吉氏の貢献は内外で非常に高く評価されるのもです.


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